育児は幸せ…だけじゃない。「つらい」と感じるのは自然なこと
育児は尊いものであり、かけがえのない時間でもあります。しかし同時に、育児は24時間休みのない重労働でもあります。言葉を話せない赤ちゃんとの毎日、思うように進まない家事、積み重なる睡眠不足や孤独感。「幸せなはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう」と戸惑う瞬間があるかもしれません。
それでも多くの母親は、「自分が頑張らなければ」「こんなことで弱音を吐いてはいけない」と、自らに厳しくなってしまいがちです。そんな日こそ、自分を守るために「ズル」してもいいのです。
ここで紹介する3つの“ズル”は、手を抜くことでも、逃げることでもありません。心を守り、明日も子どもと向き合うために必要な“知恵”です。育児に正解はありません。どうか、少し肩の力を抜いて読み進めてみてください。
「ちゃんとやらない」選択をしても大丈夫
子どものため、家族のためと毎日頑張る母親ほど、「きちんとやらなければならない」という思いにとらわれがちです。しかし、すべてを完璧にこなすことは不可能です。むしろ、がんばりすぎが心身を壊す原因になることもあります。
● 家事はサボっても生きていけます
洗濯が1日遅れても、食器がシンクに溜まっていても、命に関わることではありません。赤ちゃんの安全と健康が保たれていれば、他のことは「後回し」でかまいません。掃除機をかけられない日があっても、洗濯物がたまっていても大丈夫です。
● 手抜きごはん、レトルト、大歓迎
ごはんづくりは、毎日の負担のひとつです。レトルト、冷凍食品、デリバリーなど、今は便利で栄養バランスの良い商品がたくさんあります。栄養や手作りにこだわる気持ちは素晴らしいことですが、それに縛られて苦しくなる必要はありません。食べられること、満たされることが大切です。
● 部屋が散らかっていても誰も困りません
赤ちゃんがいる生活では、部屋が散らかっているのは当たり前です。「きれいに片づけておかなきゃ」と無理に片付けようとすると、心が疲弊してしまいます。見た目よりも大切なのは、笑顔で過ごせる空気感です。目の届く範囲だけ片づける、「今日は片づけない日」と決める。それだけで気持ちは軽くなります。
「ひとりの時間」をつくることに罪悪感はいりません
「ママなのだから、子どもと一緒にいるべき」「泣いているのに離れるなんて」といった固定観念に縛られると、自分自身の限界に気づけなくなってしまいます。しかし、育児には“ひとりになる時間”が必要不可欠です。
● 子どもを預けてカフェに行くのもOK
数時間でも子どもを家族に預けて外出することで、気分が大きくリセットされます。カフェでお茶を飲む、好きな雑誌を読む、それだけでも十分です。育児は365日続くマラソンです。ひとときの休憩が、明日への活力になります。
● テレビやYouTubeに頼っても問題ありません
「メディアに頼るのはよくない」と感じてしまうこともありますが、すべてを親が対応しなければならないという考えは負担になります。子どもが好きなアニメや教育番組を見せている間に、一息つくことも立派な“セルフケア”です。見せ方や時間の工夫で、育児の味方になるコンテンツも多くあります。
● 「ママじゃなきゃ」は思い込みかもしれません
赤ちゃんや幼児が「ママじゃなきゃイヤ」と泣く場面は多々ありますが、それを真に受けてすべてを引き受けてしまうと、疲弊してしまいます。泣いても少し待たせる、パパや祖父母に任せる。そうした積み重ねが、子どもにとっても“信頼できる人が複数いる”という安心感につながっていきます。
「がんばらない日」を堂々とつくろう
「がんばるのが当たり前」という空気に飲まれてしまうと、自分を追い詰めてしまいます。ときには意識的に“がんばらない日”を作ることが、育児を続けるために必要です。
● 育児に“休んではいけない日”はありません
育児にはシフトも休日もありません。だからこそ、自分で「今日は休む」と決めていいのです。着替えなくてもいい、料理しなくてもいい、外に出なくてもいい。休む日を意図的に作ることで、心と体に余白が生まれます。
● SNSから離れて“比較しない”時間を
他人の育児や生活がきらびやかに見えるSNSに触れ続けることで、「自分はダメかもしれない」という気持ちになることがあります。意識してスマートフォンから離れ、自分と子どもだけの空間に戻る時間を持つことで、余計な情報から解放されます。
● 心が休まるルーティンを持つ工夫
お気に入りの飲み物を飲む、お風呂で好きな香りを楽しむ、夜に小さなスイーツを用意するなど、毎日の中に“癒し”のルーティンを組み込むことも有効です。「この時間があるから今日もがんばれた」と思える時間を意識的に作ることが、心の安定につながります。
「ズル」じゃない。心を守る知恵です
育児において、力を抜くこと、手を抜くこと、誰かに頼ることは、決して“ズル”ではありません。それは、自分と子どもを守るための知恵であり、勇気ある選択です。
つらいと感じる心があるのは、子どもに真剣に向き合っている証拠です。完璧を求めるのではなく、「今日はここまでで十分」と自分に許しを与えることが、継続可能な育児につながります。
がんばりすぎてしまう性格は美徳である一方、無理をしすぎると立ち上がれなくなってしまうこともあります。だからこそ、あらかじめ“ズルしてもいい日”を心に用意しておくことで、いざというときに安心して休むことができます。
どうか、「ちゃんとしていない日」の自分も、肯定してあげてください。育児のゴールは、ただ生き延びることではなく、笑って過ごすことです。そのための「ズル」は、誰にも責められるものではありません。