産後の「後悔」、実はみんなある
出産後の生活は、想像以上に体力も気力も必要になります。慣れない赤ちゃんのお世話、寝不足、ホルモンバランスの変化など、心身ともに大きな変化を迎える時期です。
そのような中で、「あれはやらなければよかった」「もっとゆっくり過ごせばよかった」と振り返って感じることは少なくありません。産後の数週間から数か月は、育児生活の土台を作る大切な時期であると同時に、無理をしてしまいやすい時期でもあります。
本記事では、産後によくある「やらなきゃよかったこと」を5つ取り上げ、その背景や理由、そして同じ失敗を繰り返さないための工夫についてご紹介します。これから出産を迎える方や、育児の真っ最中の方にとって、少しでも心の余裕を持つきっかけとなれば幸いです。
産後に「やらなきゃよかったこと」5選
1. すぐに家事を完璧にこなそうとした
出産から間もない頃、体力が回復していないにもかかわらず、「家の中をきちんと保たなければ」と思い、掃除や洗濯、料理などを以前と同じようにこなそうとするケースが見られます。
しかし、産後の身体は想像以上にダメージを受けており、過度な動きは回復を遅らせたり、不調を引き起こす原因になります。完璧を求めず、「できるときに、できる範囲で」で十分です。
2. SNSで他人と自分を比較した
育児中は外とのつながりが減りやすく、SNSを通じて他人の生活を見る機会が増えます。「あの人は余裕そう」「同じ月齢なのにできているのに」と、無意識に比較して落ち込んでしまうことも少なくありません。
SNSはあくまで一部を切り取った情報であり、現実とは異なる面も多々あります。見ることで不安になる場合は、距離を置く選択も大切です。
3. 無理に外出して体調を崩した
「産後もアクティブに動かなければ」と感じて、まだ身体が整っていないうちに買い物や外出をしてしまい、体調を崩すことがあります。特に1か月健診前の外出は注意が必要です。
産後は、体を休めることが最優先です。外出は必要最低限にとどめ、家の中でもゆったり過ごせる環境づくりを心がけると安心です。
4. 育児書を読みすぎて混乱した
赤ちゃんの発達や育て方について不安を感じると、複数の育児書やネット情報を参照することがあります。しかし、それぞれの情報が異なっていたり、理想論ばかりが書かれていたりすると、かえって混乱してしまうことがあります。
育児には「これが正解」という明確な基準がないことも多いため、情報に振り回されず、自分と赤ちゃんにとって合った方法を見つけていく姿勢が大切です。
5. パートナーに頼らず一人で抱え込んだ
「自分がやらなければ」「言わなくてもわかってほしい」といった気持ちから、パートナーに頼らず、すべてを一人でこなそうとしてしまうこともあります。
しかし、産後の育児はチーム戦です。役割を分担し、適切にサポートを求めることで、心身の負担を減らすことができます。遠慮せず、気持ちや希望を伝えることが重要です。
なぜ後悔したのか?5つの行動の背景と本音
これらの「やらなきゃよかったこと」には、それぞれに共通する心理的背景があります。以下にその代表的な理由を整理します。
● 「早く元通りになりたい」という焦り
「出産前と同じように動けなければならない」という思いが、無理な行動につながることがあります。しかし、身体と心の回復には時間が必要です。
● 「ちゃんとしなきゃ」という思い込み
育児は真面目な人ほど、自分に厳しくなりがちです。「きちんとしなければ」「怠けてはいけない」と思い込み、限界を超えてしまうことがあります。
● 孤独や不安が判断を狂わせる要因に
産後は社会との接点が減り、赤ちゃんと二人きりの時間が増えるため、孤独感や不安を抱えやすくなります。その結果、情報に依存したり、行動を急いでしまったりする傾向があります。
● 周囲の期待や無意識のプレッシャーも影響
「赤ちゃんがかわいそう」「ちゃんと育てているのか」といった、周囲の言葉や空気にプレッシャーを感じて、必要以上にがんばってしまうことがあります。
同じ失敗を繰り返さないためにできる工夫
同じような後悔をしないためには、少しの意識の変化と実践が鍵となります。
● 「休むこと」が最優先という意識を持つ
産後の心身には、十分な休養が不可欠です。できるだけ横になり、無理に動こうとせず、「休むことが仕事」と割り切ることが、長い育児生活を乗り切るポイントになります。
● 比較せず、自分と赤ちゃんのペースを大切にする
成長や育児のスタイルには個人差があります。誰かと比較するのではなく、赤ちゃんと向き合いながら、日々の小さな成長を喜ぶ気持ちを大切にすると、不安や焦りも和らぎます。
● 情報との距離感を見極める
必要以上の情報収集は、かえって混乱の原因になります。信頼できる情報源を一つに絞るか、気になったときだけ調べるなど、自分なりの距離感を持つと安心です。
● 小さなことでも周囲に頼る・話す習慣をつける
パートナーや家族、地域の支援サービスなどを積極的に活用することが、心の安定につながります。「助けて」と言えることも、立派な育児の力のひとつです。
産後は「がんばらない」ことがいちばん大事
産後の生活では、「あれもこれもやらなければ」と思うことが多くあります。しかし、最も大切なのは、赤ちゃんと自分自身の心と体を守ることです。
がんばりすぎてしまった結果、体調を崩したり、心が追い込まれてしまっては、長い育児のスタートラインでつまずいてしまうことになります。
「やらなきゃよかった」と感じる経験は、決して失敗ではなく、大切な気づきとなります。その気づきを次に活かし、自分を責めず、少しずつ前向きに育児を進めていくことが、より良い子育てにつながります。
無理をしない、誰かと比べない、そして遠慮せず頼る。そんな「がんばらない育児」が、家族全体の笑顔を守る大きな力になります。